2014.09.08

民間保育事業者の2大トレンドについての考察

もともと待機児童が大きく問題視され始めた数年前から、保育所の増設は喫緊の課題として、少数派とはいえ民間事業者の参入も続々ニュースで取り上げられるようになってきました。また安倍政権になり、また少子高齢化もいよいよ大変な事態(現時点で4人に1人が65才以上、生産年齢人口が毎年100万人ずつ減少、2060年の高齢化率は40%)が見えてきたということで、「女性の活躍推進」「子どもを育てやすい環境づくり」といった政府のスローガン(及び予算配分)と呼応して、保育業界への他業界からの参入など、保育業界も一層騒がしくなってきたような気がします。

そんな中、民間事業者の動きや、経営者の方との話を通じて思う最近のトレンドは、確かにNPOなどの小規模事業者が特徴ある理念の元に開設するパターンも増えてきました(小規模保育事業の世界ではこの形態のシェアが高まる可能性は高いです)が、メインストリームを目指そうとする事業者は2極化しているように見えます。(このブログでは、社会福祉法人は文脈に含んでおりません)

パターン①
“絵の具型”事業者・・・誰でも使える、補助金の出し手に合わせて自在に変化

既に数十を超える施設数を抱えている大手事業者(古参とは限らず、起業から10年未満の会社も少なくない)が、このタイプになります。
これまでの運営実績・ネームバリュー等を「自治体や事業者に対する売り」として、各種助成金(認可保育所、各自治体の認定/認証保育室、事業所内保育所など)の制度を最大限活用したスキームで、さらなる規模拡大を図っていこうとする勢力です。こちらはまさに、先行者利得を活かしたモデルで生き残りを図ろうとする勢力です。
保育所黎明期の苦しい時期を、自力で乗り越えたボーナスとも言えるような気がします。
この勢力は、大手デベロッパーなどと組み、都市部の大規模再開発における認可保育所新設のプロジェクトなどにも参入し、さらに規模拡大のペースを上げています。
規模拡大というのは、社会的インフラを整えるという意味では大変意義があるのですが、(事業者の意図にかかわらず)「アンチ付加価値」「アンチ差別化」のため、共産主義的な様相も呈しており、ほとんどサービス改善のインセンティブが働かないのは、子どもにとっても、働く保育者にとってもどうなのか、と心配もあります。

パターン②
“万年筆型”事業者・・・富裕層向け、尖ったサービスが売り

こちらは、高付加価値&高単価をビジネスモデルとする勢力です。英語などのグローバル教育やその他知育プログラム、小学校受験指導、高いIQ(知能指数)保証、バレエや合気道などスポーツ・文化のお稽古事の付加、モンテッソーリなどの特定の教育理論などを、「保護者に対する売り(付加価値)」としています。
但し、こうした特色あるサービスというのは、横並びを良しとされる認可保育所などの助成金スキームの保育所ではできない場合が多く、また価格設定が自由ではないため、多くの場合“認可外“であり、保護者からいただく保育料で運営する必要があります。そのため、月の保育料が10万円~20万円となることから、自動的にターゲットは富裕層という相対的にマーケットの規模は小さくなりますが、その小さいパイのシェアを精一杯取ってやろうという気概で事業展開をされています。こうした保育施設の経営者の方は、保育業界とは全く違う業界から参入された方が「旧態依然とした保育業界に一石を投じてやる!」という気持ちで取り組んでいる場合もあれば、認可保育園を運営されていた方が「役所へのロビー活動で忙殺される認可保育園にはほとほと絶望した」「少子化が進めばこんな事業は持続可能ではない!」と、人生の舵を切って取り組むような場合など様々です。
ただ逆に、「認可外で園長やっていたが、売上を求められる環境に疲れた」と辞められる方もいて、そのバランス感覚は難しいところではあります。

こうした2つのトレンドを、どう見るかといえば、利用者として親としてはどちらでも自分の価値観に合うものを選んだら良いというのが、私個人としての結論です。

ただ、この昨今のトレンドをひしひしと感じる中で、もし事業者として保育施設をやろうとするなら、この2つは両方とも答えではないと強く思うのです。

きっと第3の道がある。いや、第3の道は自分で創るのである、という思いで引き続き活動を続けていきたいと思います。