2014.06.20

都内でもこんなに違う?子育て支援に対する自治体の温度差

News & Topicsの「東京都内7自治体へのヒアリングを実施しました!」にて、得た内容・実感のレポートです。

1.子育て支援への熱心さは自治体によって、かなり温度差があるということ

これについては、実際に「保活」や子育てをされているパパ・ママの中には、すでに実感されている方もいらっしゃるかと思います。
「自分が今住んでいる区は、待機児童が多いのに保育所の整備はなかなか進まない」
「あっちの区の方が保育所が増えるペースが速く、待機児童がどんどん減っている」
「あちらの区の区長は、子育て支援に熱心で、補助も手厚い」
など、色々なことをお聞きになったり、考えたり、迷われることも多いかと思います。
最近は、特に共働きのご家庭などで、待機児童が少ない区に引っ越しした、というケースをよく聞くようになりました。子育て・仕事、という大事な人生のイベントが迫っているときに、自治体の対応を待っていられませんからね。
こうやって、自治体は「住民」という重要な顧客を失っていることに気が付いているのでしょうか…?

都内に限らず、全国の都市部では、「結婚する時から保育園事情を踏まえて新居を選んだ方が良い」のが現状です。

2.待機児童数が多く、困っている親が多いかどうかは、必ずしも自治体の熱意と比例しないこと

薄々気が付いてはいましたが、本当にここまで頑なな自治体があるのか、とリアルに知って、正直驚きを禁じえませんでした。しかも、待機児童が多い状態が恒常的になっている区だったりするのです。
だからこそ、恒常的になってしまっているのでしょう。

確かに、自治体が熱心に保育所設置を進めていても、都心の大型タワーマンションなどが一棟できただけで、急に待機児童が増えてしまう、ということもありますが、それでも年によって減ることもあります。増えたり減ったりするということは、ある意味、自治体の努力の表れといえるかもしれません。

待機児童数が高止まりしている自治体は、もっと住民のニーズに向き合い、耳を傾け、実行に移すということをしていただきたいと思います。

3.株式会社や新規事業者の参入について、慎重な自治体が未だにあるということ

現在の全国の保育所を運営する主体は、ほとんどが自治体か社会福祉法人で、株式会社は2%程度にとどまっています。
ただ、公立保育所も社会福祉法人の保育所は、国や自治体から非常に手厚く補助金が支給されているだけに、今後どんどん増やすことは自治体としても難しいことです。また、今は待機児童が非常に多い状況が続いていますが、今後、少子化になった時にどうなるか。実際、厚生労働省の見通しでは、2017年がピークでその後は減少すると予測しています。そうなったときに、公立や社会福祉法人で作ってきた「土地を買って、上物を立てて・・・」という大規模な保育所をどうするのか?が問題になってきます。
こう考えると、自治体として住民の要望に応えるためには、多様な事業者の参入を促しつつ、小規模の施設を細かく作っていく、ということが自然な結論になるのではと思います。
しかし、
「うちの区では、株式会社による運営は基本的に考えていません」
「東京都のどこか別の区で、運営実績があれば考えます」(他の区は実験場なの?)
「でも、埼玉県や千葉県など他の県での運営実績は、運営実績とはみなしません」(なぜ?)
ということを仰る自治体もいらっしゃいました。
その自治体の待機児童数は、都内23区でもトップクラスです。

反対に、小規模の保育所を増やす、株式会社やNPOなど多様な参入者を認める、自治体独自の取り組みで問題解決する、ということを積極的に進めておられる自治体もあります。そうした自治体では、共働き世帯が多く、保育所利用者数が増えていても、待機児童数を抑えることができています。

未だに「株式会社は利益追求に走るから、保育の質が下がる」「子供を商売の対象にするな」など、迷信めいた見解もあるようですが、行政までがそのような迷信に囚われているのかとも思ったくらいです。
保育の質を上げていくためにも、多様な参入者を認めること、事業者が再投資できる力をつけること、顧客のことを考える発想を取り入れることは、この業界にはむしろ必要なことだと思います。

子ども子育て支援新制度では、「株式会社の参入を促進する」ことが決まっていますが、実施は自治体の裁量にゆだねられる部分が多いため、引き続き、各自治体のスタンスというものを注視する必要があります。

私どもとしては、民間&新規の事業者でも、業界のモデルになるようなサービスを行い、こうした「迷信」を払しょくしていけるよう努力して参りたいと思います。