待機児童ゼロへ7月に協議会 知事「効果的な方策検討」(神奈川新聞、カナロコ)
神奈川県が、県内の市区町村を構成員とした協議会を7月に発足させることになったとのこと。
(パチパチパチ)
記事にもある通り、今年3月に改正された子ども・子育て支援法(子ども・子育て支援法施行規則の一部を改正する内閣府令(平成30年内閣府令第21号)(施行日):平成30年4月1日)において、都道府県レベルで待機児童解消のための協議会を設置できることとなりました。
これは、元々は、昨年11月29日に政府が取りまとめた「規制改革推進に関する第2次答申※」で、待機児童対策の1メニューとして「関係者全員参加の下で協議するプラットフォームの都道府県による設置」という項目名で挙がっていたものであり、それが法制化されたものです。
なぜ、このようなものが必要なのかと言えば、都市部など待機児童問題が深刻かつ当面解消されない地域では、これまでのような市区町村単体の取り組みでは、行政にとっても住民にとっても、効率的に成果を出すのが難しいということがいよいよ明らかになってきたからです。
神奈川県は、昨年から今年にかけて7933人分の保育定員を増やしたとのことですが、今年4月時点での待機児童は867人で2年連続の増加。
特に、人口規模の大きい横浜市・川崎市が、昨年度まで「隠れ待機児童」を古い基準でカウントしていたため、今年から適用になった新基準により、待機児童が増えた影響も大きかった模様。
今回プラットフォームが設置されたのは朗報ですが、この記事にあるように「成功事例の共有、保育士採用や広報の協働」といったものではちょっと弱い。
しかも参加者が「市区町村」のみ。
そもそも規制改革答申の中では、下記のようにもう少し踏み込み、待機児童解消に向けた計画の妥当性や実行を確実にするための効果的なことが提案されていました。
・計画を実効的なものとする(つまり、市区町村が作る整備計画数値、実行方法からみた実現可能性などを都道府県がスクリーニング)
・関係者全員参加(都道府県、関係市区町村、保育事業者、有識者の他、必要に応じて関係府省も入れる)
・KPIの設置と、PDCAサイクルによる進捗管理徹底
まずは取り組みやすいところから、というのも分かりますが、待機児童解消は「待ったなし・最優先」と政府も言っている政策です。
これらも早急に取り組んでいただきたいと思います。
※規制改革推進に関する第2次答申より、該当部分引用
「保育の実施主体である市区町村が、待機児童の解消に向けて、各区域内でできる最大限の取組を行っているにもかかわらず、いまだ待機児童が解消されない市区町村が存在するということは、市区町村単独で解決に当たることに限界があることを意味している。
したがって、従来の市区町村単独での取組に加え、都道府県を中心に、広域的に待機児童対策に取り組むよう促すために、意欲ある都道府県を「待機児童緊急対策地域」とし、当該都道府県では、現行の都道府県による市区町村の取組の支援(都道府県子ども・子育て支援事業支援計画)をより実効的なものとするため、関係者全員参加の下で協議するプラットフォームとして、待機児童対策協議会(仮称。以下「協議会」という。)を設置する。
協議会には、都道府県、関係市区町村、保育事業者、有識者の他、必要に応じて関係府省が参加する。協議会参加者は、地域の実情に応じて各種施策について協議を行い、各項目について適切なKPIを設置し、それをPDCAサイクルで回して目標達成に向けた進捗管理を徹底する」